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店主が日本中を旅して目利きしたご当地のうまいものが並ぶお店です。店内に並ぶのは、昔ながらの製法で作られる無添加調味料や、その土地ならではの美味逸品、子供にも安心して食べさせられるおいしいお菓子などなど。ぜひ宝探しする気持ちでいらしてくださいね。
2018-05-13

簡単な天然だしのとりかた

最近あったちょっと嬉しかったことにこんなことがありました。

ある日、用事のついでに枚方のお店によってみたら、
「店長!店長!」とテンション高めにスタッフが声をかけてくれました。

スタッフ
(以下ス)「店長、聞いてください!この前家で初めていちからだしをとってみたんですよ!」

私「そうなんですか!何でとったんですか?」

ス「昆布と鰹です。鰹節を鍋に入れて、店長が教えてくれたように網ですくったんです。
めっちゃ簡単で、こんな簡単だったらもっと早くやればよかったと思いました。」

私「よかったです~。一旦ざるで全部濾すのは面倒くさいけど、
小さい網ですくえばそんなに面倒じゃないですよね。ちょっとくらいすくいきれなくても食べられるし。」

ス「ですよね~。もっと早くにやっておけばよかった・・」

私「1年越しでしたね。それで、ご家族の反応はどうでした?」

ス「それがお味噌汁作ったんですが子供のくいつき方が違うんですよ!喜んで食べてました。」

私「それはそれは~。よかったですね!うれしいです。」

と、こんなやりとり。

美味しいもの大好きで、もともとうちのお店の常連さんだったこのスタッフさん。
料理も食べるのも大好きで、お仕事してて忙しいのにお子さんのおやつも手作りしてるんですよ!えらい!
(私がこどものおやつを手作りするのは2か月に1回くらいです・・・)
でも、おだしだけは今まで顆粒タイプのだしを使っていたそうです。

おやつを手作りするより、おだしとる方がずっと簡単やのになぁ、と思っていたけれど
案外こういう人は多いのかもしれない。
ちゃんと毎日家族のために料理を作ってて私から見ればずいぶん「デキル主婦」の知り合いの人も
ほ〇だしを使ってるって言ってたし。

だしをとるって、慣れてしまえばめちゃくちゃ簡単だけど
その習慣がない人にとってはとってもハードルの高いことなのかもしれません。

そういえば、先のスタッフも数か月前にこんなことを話していました。
「ほんとはちゃんとおだしとって料理したいんですよ。
子供にはちゃんとしただしを飲んでほしいし。
でも、今までずっと顆粒のを使ってきたから、どうなんだろう・・
味変わると、家族は食べてくれるかな。
せっかくおだしとって、食べてくれなかったらショックですよね~。
わかってはいるんですが、なかなか変える勇気が・・・」

その気持ちはよくわかります。
家族のためを思って作って「前のほうがいい」って食べてくれなかったら悲しいですよね。

でも、そんな心配は杞憂だったようです。
子供の舌は一番敏感で正直だから
おいしいものは喜んで食べるし、そうじゃないと食べない。

小さいころに食べたものはその人の食の好みの基本になります。
「こういうものがおいしい味なんだ」と理屈ではなく感覚で覚えるのです。
天然のだしで作ったお味噌汁で育った子供には、そういう味がおいしいものだと感覚に強く刷り込まれます。
これは、〇〇エキスが入った顆粒だしのお味噌汁で育った子供にも同じことがいえますね。
〇〇エキスや調味料(アミノ酸)の入ったお味噌汁がおいしいものだと覚えるのです。

小さい頃に親が食べ物に気を付けていても、子供はある程度大きくなったら友達と一緒にファストフードも食べることもあるでしょうし、親が食べてほしくない変なお菓子ばっかり食べることもあるでしょう。社会人になれば夜遅く帰ってきて、連日コンビニのお弁当を温めて食べることもあるかもしれません。

でも、ふと自分の食生活を顧みたときに、天然だしのお味噌汁で育った子だったら多少脱線してもそこに帰ってこれると思うのです。天然だしの味がその子の味覚の原点なので。
これが、〇〇エキス入りの顆粒だしで育った場合は、きっと難しいんじゃないかな。だって市販のお惣菜やカップのお味噌汁の原材料表示を見てみてください。調味料(アミノ酸)、〇〇エキスのオンパレードですから。
コンビニのお弁当とか外で安くで買える食べ物が小さい時においしいと刷り込まれた味と根本的に同じだったら、そこから離れられないんじゃないかな、と思うわけです。

ちょっと脱線しましたが、
だしをとる習慣のない人にとっては、いちからだしをとることはとてもハードルの高いことかもしれません。
でも、一度やってみてください。
本当はとても簡単です。要はだし素材から旨味成分をどうやって抽出するか、です。

昆布だったらつけておくだけでよいおだしが出ます。
入れる分量は目分量でいいです。量は使っていると自然にわかります。
よくぬれたふきんで昆布をふいてから使うようにとだし昆布のパッケージに書いてあったりしますが
裏表見て汚れていなければそのまま入れて大丈夫です。

煮干しもつけておくだだけ。
頭と腹をとるとよりおいしくできますが、気にならない人はそのままでもいいです。
そのままぽりぽり食べられる煮干しなら、頭と腹をとらなくても苦みがでにくいです。

けずり節の類は熱いお湯に入れて少し煮てから濾すと濃くでます。
濾すのが面倒だという人は、鍋に入れたまま網ですくいましょう。
もっと簡単にしようと思えば、フードプロセッサーで粉にしてしまえば良いのです。
煮干しも頭を腹をとって、フードプロセッサーで粉にしておくと入れるだけでいい味になります。
粉にしておけば、使い勝手は顆粒だしと変わりません。

こだわろうと思えば、もっと丁寧にもっと面倒くさくできますが、
そういうことは和食の料理人さんの領分でいいのです。
家での食事は毎日のことなので、簡単にできて毎日続けられることが一番大事。
テレビで見た和食の料理人さんのだしの取り方を真似しても、
続けられなければ意味がありません。

天然だしは顆粒だしと違い、薄味ながら何種類ものうまみ成分が入った奥深い味です。
ぜひこのおいしさを一人でも多くの人に知ってほしいと思います。
とっても簡単にできるから、二の足を踏んでいる人がいたらぜひ一度試してみてください!

店長キョウコ

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